岩沼ダイアリー

【岩学(いわがく)・農(の)・ダイアリー VOL.8】

【岩学(いわがく)・農(の)・ダイアリー VOL.8】 カブトムシ由来の肥料を作る 令和6年5月31日

 

『概要』

・カブトムシ幼虫の糞を用いて、岩学オリジナルの有機質肥料(以下、ビートルコンポスト)を作りました!

・ビートルコンポストは、地球にやさしく、野菜を美味しくします!

 

 2年生の農業では、野菜や草花の栽培に加えて、カブトムシの飼養を行い、地域資源を活用した持続可能な農業と地域交流を実践しています。

 これまで、長期休業中は生徒が幼虫を持ち帰り、学校では授業の中で飼養管理の他に観察や体重測定を実施し成長を見守ってきました。

 さて、カブトムシ幼虫の飼養にはマットが必要です。私たちは、岩沼市にある(株)一路 様からキクラゲ栽培に用いた廃菌床を譲り受け、マットとして活用しています。幼虫を健康的かつ理想的な体重にするため、月1回のマット交換を行ってきました。使用済みのマットをふるいにかけ、糞を取り除いたものと新しい廃菌床とを半々に混ぜて使用しています。これまで住み慣れたマットに栄養を添加することで、幼虫はストレスを抱えずに、成長が促進されます。

 近年、化学肥料が高騰し、数年前の倍近くの価格で販売されています。化石燃料や鉱物等の枯渇性資源から合成され、ほぼ全量が海外由来のものであり、世界的な需要の増大やロシアのウクライナ侵攻により輸出が停滞していることが高騰の要因とされています。現在、日本政府は化学肥料を減らす取り組みを支援し、国内資源を活用した資源循環的な農業に転換するための1つの手段として有機質肥料の使用を推奨しています。

 当校では、生徒が農業を取り巻く社会情勢を理解し、我々ができる課題解決策として、先日、幼虫糞を用いたビートルコンポストの作成に取り組みました。動物由来の原料(カブトムシ糞、鶏糞、魚粉、骨粉)と植物由来の原料(油かす、米ぬか、草木灰)、そして、発酵促進材(水、ヨーグルト、納豆、イースト、砂糖を混ぜ、発酵させたもの)を混ぜ合わせ、水分調整を行った後、好気的環境下で発酵させました。その後は水分調整と切り返しを適切に行い、無事に完成しました。いずれの原料も身近にあるもので、容易に入手することができます。また、環境にやさしいだけではなく、畑に施用すると土壌の物理性が改善したり、野菜の食味がアップしたりとたくさんのメリットがあります。一方、作成に手間と時間がかかり、大量生産ができないためにコストがかかる等のデメリットもあります。

 今後は、ビートルコンポストの肥効性や各野菜の栽培に合った施肥量の見極めを進めていきます。また、化学肥料を用いた場合との野菜の生育やコストの比較も調査します。そして、ある程度の野菜の収穫量を見込めた場合は、有機JASやノウフクJAS制度の認証にも挑戦していきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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